白峰の空き家を利用して「東京大学地域未来社会連携機構 北陸サテライト ライン館」が開設

昨年4月に、東京大学の10の部局が連携して「研究」「地域連携」「人材育成・交流」の3局面で相乗効果を発揮し地域の課題解決を図ることを目的に、「地域未来社会連携機構(機構長:松原宏)」を設置されました。
機構では、全国2ヵ所のサテライトが設けられ、その一つの「北陸サテライト(通称ライン館)」が白山市白峰に設置され、5月15日に開所式が行われました。
なお、NPO法人白山しらみね自然学校は、北陸サテライトの活動を支援しています。

左より小田白峰区長会協議会会長、東京大学松原機構長、山田白山市長、山下ライン博士顕彰会会長

開所式に併せて、白峰小学校全児童を対象に「白峰の未来地図を作ろう」というタイトルでワークショップが開催され、子供たちが白峰の未来図を考えました。「コンビニがあったら良いね」「トランポリンランドがあったら良いね」などの様々な意見が出されました。

なぜライン館と名付けられたのでしょうか

白峰には国指定天然記念物「桑島化石壁」があり、中生代の植物化石や動物化石が数多く発見されていますが、これを世界に紹介したのはプロシア(現在ドイツ)の地理学者ライン博士(1853-1918)です。ライン博士は明治7年に白山に登山し、その帰りに桑島化石壁(現在の場所とは少し異なります)から植物化石を採取しました。その後、本国に帰ってから友人のガイラー博士に調査を依頼し、ガイラー博士は、この化石を調べ「日本のジュラ紀層からの植物化石」という論文を発表しました。この論文は日本の化石を世界に初めて紹介する論文でした。このため、「桑島化石壁」は日本地質学発祥の地とも呼ばれています。桑島化石壁が含まれる手取層群(ジュラ紀中期から白亜紀前期の地層)は、富山県、石川県、福井県、岐阜県に広く分布し恐竜などの動物化石や植物化石などが数多く発見されています。
ライン博士は本国に帰ってから、ボン大学で日本からの多くの留学生を指導・支援していましたが、その一人が東京大学の地理学科を創設し、日本近代地理学の父と呼ばれる山崎直方(やまさぎなおまさ)でした。
このような縁から、白峰に北陸サテライトが設置され「ライン館」と名付けられました。

国指定天然記念物「桑島化石壁」

空き家となった古民家に再び命を吹き込む

白峰地域では過疎化により空き家が増えつつあります。しかし、豪雪地帯であるため冬期間の屋根雪下ろしは不可欠です。このため、空き家を維持するには大変が労力や費用が必要となり、取り壊しを希望する人が多くいます。しかしながら、白峰地域は重要伝統的建造物群保存地区に選定されているため、取り壊すには様々な制約があります。また、空き地が増えることで重要伝統的建造物群保存地区の魅力も低下します。
しかし、最も危惧されるのは家が無くなると、その地域から「その家(世帯)が代々引き継いできた歴史」が消えてしまうことです。
白峰では、今も屋号を大事にしており各家庭には「屋号札」が掲げられており、ライン館でもそのまま「屋号札」が掲げられています。
北陸サテライトライン館は、白峰の空き家となった古民家(築後約100年)を改修して利用しています。「えんきょう(屋号)」という家に再び命が吹き込まれ、新たな歴史が始まりました。
このような事例が増えると良いですね。

改修前の1階部分

改修後

屋号札 白峰では多くの家に掲げられている

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